こんにちは、Noraです(^^)/
今日は私の好きな本をご紹介します。今回の本はこちら。

「ターシャ・テューダー 最後のことば ラストインタビュー『人生の冬がきたら』」
著者:ターシャ・テューダー
出版社:白泉社
2008年6月18日、ターシャさんは92年の生涯を終えました。
この本は、月刊絵本雑誌MOEに掲載されたターシャさんの生前最後のインタビューと、
ご家族が語るターシャさんの姿をまとめたものです。
この本を本屋さんで見つけた時、
「ああ、もうターシャさんはこの世にいないのか…」
と、悲しい気持ちに駆られながら購入した記憶があります。
しかし本を開いてみると、そこにはいつもどおり前向きな言葉の数々が並んでいます。
目次
小さな喜びをつくりだす天才
「美は、見る人の目の中にある」
どの本を読んでも、ターシャさんは毎日の暮らしの中に、小さな喜びを見つけたり楽しい工夫を凝らす天才だったのでは?という印象を受けます。
92年生きてきた中で、暗いトンネルに迷い込んだ気持ちになったことも何度かあったそうですが、
それでも物事の良い面を見ようとする気持ちや、どんなことに対しても喜びをもって行うことを心がけていたようです。
美しいものに囲まれているのが好きだと言っていたターシャさんは、自分の周りを美しいもので満たすためにこんなことを勧めています。
「『美は、見る人の目の中にある』という言葉があります。(中略)
(『ターシャ・テューダー 最後の言葉』より引用)
魅力のないつまらない暮らしを避けるように努力はするべきですが、
もし、今の時点でそれ以上の解決方法が見つからないとしても、
あなたの考えや行動を美しくすることはできるはずですよ」
ターシャさんは何も、美しいものに囲まれるために、自分と同じようにガーデニングやアンティークのものを購入するべき!と言っているのではなく、
「何事も自分の考え方や行動次第、それを美しいものに変えることはできますよ」
と提案しているのです。
他の雑誌でのインタビューや本の言葉と同じく、あくまでも「参考にできるなら、どうぞ取り入れてみて」という緩いスタンスです。
自分の手でつくりだすこと
ターシャさんは子どもの頃からアンティークの食器や家具、ドレスなどを集めるのを趣味のひとつにしていました。
「アンティークの品々を眺めたり使うということは、つかの間、時間を遡って旅をするようなものではないかしら」
(『ターシャ・テューダー 最後の言葉』より引用)
私もこの言葉に共感します。
歴史や美術の本を読むにしろ、博物館などで古い時代のものを見るにしろ、
古いものには新しいものにない独特のミステリアスな雰囲気がありますよね。
どんな人が、いつ、どうやって作ったのか、どんな思いで作ろうとしたのか、はたまた使っていたのか、自分でいろいろと想像を巡らせるのも楽しいです。
そして多くのアンティークは、手づくりされた世界に2つとないものでした。
食べ物や着る物を始め、何でも自分の手でつくりだすことが好きだったターシャさんは、
手づくりすることからも喜びが生まれてくるとおっしゃっています。
何かと急かされることの多い現代では、生活するものをすべて手作りするのは難しいですが、
季節に合わせた小物を作って飾るとか、料理にいつもと違う工夫を少し凝らしてみるなどのことは、時々取り入れてみたいなぁと思います。
「待つこと」は意外と難しい努力
「早く描けるようになりたい!」思いが空回り
突然ですが、実は私は「待つ」ことが苦手でした。(今も苦手です)。
極端ではありませんが、すぐに結果を求めてしまって、自分の思うような結果を得られないと、もういいや!となってしまうことが多かったのです。
それが顕著に現れているのが、趣味で描いている「絵」。
大人になってからまた絵を描き始めたのですが、1枚イラストを描き上げたとき、
「理想はこんなんじゃない!もっと上手く描けるはずだったのに!」
と悔しい思いに駆られ、描いたイラストを次々に捨てていた時期がありました。
しかし、それだと作品は出来上がらない、絵の成長もない、また描いては捨てて…の悪循環。
「自分が理想としている絵柄が手に入るまで待てない」、と言ったらいいのでしょうか。
その時の私は、時間をかけて少しずつ技術を磨くという発想ができず、早く憧れのイラストレーターさんのような絵でイラストを描きたいと焦っていたんだと思います。
磨き上げて積み上げていきたいもの
ターシャさんは、自分の欲しいものはどれだけの時間がかかっても、手に入れるための努力を惜しみませんでした。
その努力のひとつが「時を待つ」ということだったのではないかと思います。
「待つ」ということは、言葉にすれば簡単ですし、それくらいできる!と思いがちですが、
変化の目まぐるしい現代では意外に「早ければ早いほどいい」、ちょっと「待つ」なんてとんでもない、みたいな空気があるように思います。
実際私も、理想の絵柄を手にすることに関しては「待つ」ことができず、あんな悪循環に陥って無駄なことをたくさんしていました。
何も知らないでターシャさんのことを見ていた時は、多くの絵本や挿絵本、あの広大な庭をまるで一瞬にして作り上げたかのように錯覚していましたが、少し考えれば、そんなことはあり得ないとわかります。
長年少しずつ積み重ねていった結果が、たくさんの作品やあの広大で美しい庭、そしてターシャさんの価値観を確立していったのです。
また、私はYouTubeでいろんな絵描きさんの絵の成長記録を見るのが好きなのですが、動画で見ると、上手くなるまでにそんなに時間がかかっていないかのように錯覚してしまいます。
が、こちらも、考えればすぐ「最初から上手かったわけではない」ということがわかります。
絵描きさんに限らず、なにかひとつでも秀でているものを持っている人は、何年何十年と長い時間をかけてそれを磨き上げてきた人たちなんだと、最近になってようやく気がつくことができました。
残念ながら、今の私には「長年これを磨き上げてきた!」と胸を張って誇れるものはありません。
ですが、これから磨き上げていきたいと思っているものはたくさんあります。
そのひとつが「絵」です。
趣味の範囲ですが、好きなイラストレーターさんや画家さん、漫画家さんのような作品を少しでも多くつくれるように日々努力をしていきます!
人生は、ある意味平等?
人生は不公平だなんだと言われつつも、どんな人にも平等に与えられているものがあります。
それは、「時間と死」。
時間を止めたり増やしたり戻すことなんて誰にもできるわけありませんし、
生まれてきた以上「死ぬ」ということだけは最初から決まっています。
やっかいなのは、死ぬことは決まっているのに、それがいつになるかわからないということ。
ターシャさんは最後のインタビューで、
「死は必ずやってくるものだから、受け入れなければならない。それでもより良い人生を送るために、できることはたくさんある」
ということをおっしゃっています。
いつやってくるかわからない死に怯えながら暮らすよりも、
- おいしいものを食べて適度な運動をして健康に過ごす。
- 自分の興味あることややりたいことをたくさんやる。
- 家族や友人、仲間と楽しく過ごす。
こうした小さなことを積み重ねていくことで、きっと幸せな人生を歩いていくことができる、
というのがターシャさんの最後のメッセージです。
「言葉シリーズ」同様、この本も私にとって人生の指針になりました。
これまでターシャさんにはたくさん助けてもらいましたが、私がこの先の人生で暗いトンネルに迷い込んだとき、きっとまたターシャさんに救われると思います。
ターシャさんの言葉が、本という形で残っているのは本当にありがたいことです。
何十年経っても、大切に手元に置いておきたいと思います。
私の人生に新風を吹き込んでくれたターシャさんの言葉シリーズは、以前私の経験を交えながら5冊ご紹介していますので、こちらもぜひ合わせてご覧ください。
第1弾の記事はこちら。
☆私の好きな本 「思うとおりに歩めばいいのよ」
第2弾の記事はこちら。
☆私の好きな本 「楽しみは創り出せるものよ」
第3弾の記事はこちら。
☆私の好きな本 「今がいちばんいい時よ」
特別編の記事はこちら。
☆私の好きな本 「生きていることを楽しんで」
最終章の記事はこちら。
☆私の好きな本 「最期のときを見つめて」
それでは、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。