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こんにちは、Noraです(^^)/
今日は、私の好きな絵本作家さんについて、語っていこうと思います。
今回は「いせひでこ (伊勢英子) 」さん。
現実と幻想が一体になったような、どこか寂しく、それでいて、あたたかさを感じさせる絵を描かれる方です。
(※あくまで、私がいせさんの絵を見て抱いた印象です)
「であい」はいつも、何気ないところから
私がいせひでこさんを知ったきっかけは、酒井駒子さん目当てで買った
「illustration 別冊 絵本 作家73人の話」という本でした。
「illustration 別冊 絵本 作家73人の話」
出版社:玄光社MOOK
ちょうど、酒井さんの次に特集が組まれていて、買って最初のうちは飛ばし飛ばしで読んでいたのですが、
購入してしばらく経った後、最初から読んでみようと思い読み始めたところ、
いせさん自身の絵に対する思いや、使っている画材、絵本を作る上での過程を、
文面からでも伝わるほど熱く語っていらっしゃり、とても引き込まれました。
いせさんの絵の特徴は、水彩絵の具やアクリル絵の具で表現される、切なくて少し寂しい雰囲気の絵です。
大きな風景の中に後ろ姿の人物が入っている絵が特に素敵!
木や葉っぱ、空や雲などを始めとする自然の絵は、まるで生きているかのような躍動感を感じます。
私は、明るくて優しい華やかな絵も好きなんですが、いせさんのような、哀愁ただよう切ない感じの絵も大好きです。
「いせひでこ 作品集 PROCESSUS プロセス」
作者:いせひでこ
出版社:玄光社
本屋さんで偶然見つけたこちらの作品集は、わたしの宝物のひとつです。
いせさんの作品に限らずですが、私は完成された絵を見るのはもちろん、
ラフ画や下描き、完成されるまでの過程を見るのも大好きなんです。
それぞれに違った魅力が溢れているし、絵を描くときのモチベーションも上がります。
十数年ぶりの思わぬ再会!?
ある日、いせさんの絵本を読んでいたときに、ふとこんな疑問が生まれてきました。
「いせさんの絵を見ると、なんだか懐かしい気持ちがする…どこかで見たことある気がする…」
その疑問が晴れたのは、いせさんを知ってから数年経った頃です。
実は子どもの頃、いせさんが挿絵を担当したお話を、教科書で読んだことがあるのを思い出したのです。
それがこちらの「海のいのち」という絵本です。
「海のいのち」
作:立松和平 絵:伊勢英子
出版社:ポプラ社
確か、小学校3年生か4年生くらいの時だったと思います。
当時いせさんの挿絵を見たとき、ちょっと怖い感じがするのに、なんだか引き込まれる…と感じたのを覚えています。
特にクライマックスで、主人公が海ととけあっているような挿絵は、子どもながらに「すごくきれいな絵だ」と思っていました。
子どもの頃、私はすでにいせさんの絵に出合っていたのです。
それが、こんな形で再会できるとは思っていませんでした。嬉しい驚きです!
いせさんの熱意に脱帽…!
そして、この「海のいのち」のお話の挿絵を描くにあたって、なんといせさんは海が苦手なのにもかかわらず、
ダイビングの免許を取得して、実際に海に潜ることをしたそうです。
というのも、いせさんが絵を描く上で大切にしていることは、「自分で獲得して描く」ということだからです。
いせさんはインタビューで「海のいのち」を描くとき、
「海の底の話なのに、写真や映像だけでは、
どうしても海の温度、水の質感、音の感覚などがわからなくて、
実際に潜ってみたら、潮の流れや海から見た光、海底の生き物、
知らなかったものにたくさん出合えた」
(「illustration 別冊 絵本 作家73人の話」より)
とおっしゃっていました。
今はネット社会で、ちょっと検索すれば、自分の描きたいモチーフや参考にできるものが、たくさんヒットしますが、
そういうものに頼らず、
- 海の絵を描くなら、海に潜る
- 緑の絵を描くなら、森や山に出かける
- 子どもの絵を描くなら、子どもと接する
可能な限り、自分自身で体験して、自分の中に取り込んで絵を描くということを、いせさんはずっと行ってきたとのことです。
「そこまでする!?」と驚く人もいるかもしれませんが、逆に言えば、
「実際に、自分の五感をフル稼働させて、自分の中に取り込んで絵を描く」
という情熱をかけているからこそ、あのような素晴らしい絵が描けるのかもしれないですね…。
「安易なものに頼りすぎると、作るものが似たり寄ったりで、
ただの情報の寄せ集めになってしまう」
(「illustration 別冊 絵本 作家73人の話」より)
いせさんのこの言葉は、厳しいですが、確かに一理ありだと思います。
私は絵を描くときは、どちらかというとネットで検索する比率が高いのですが、
身近なところにあるものは、なるべく本物を見たり触ったりして絵を描こう!
…という気持ちだけはあります(笑)。
いや、これからは少しずつ、本物を見て描くことをしていこう…うん。
いせひでこさんのおすすめ絵本3選!+エッセイ本
ではここで、いせひでこさんの絵本で、わたしが好きなものを3冊ご紹介します。
絵描き
「絵描き」
作:伊勢英子
出版社:平凡社
絵描きとして、自分の中に生まれたものをどこまでも追い求める、画家の姿が描かれている絵本です。
この絵本の主人公は、もしかしたらいせさん自身なのではないかなと思います。
「自分がであってきたもの、見てきた風景は、すべて繋がっている」
ということを、最低限の言葉と自然をモチーフにしたすばらしい絵で語りかけていて、
ところどころに、いせさんが長年研究している、宮沢賢治とゴッホの姿を彷彿とさせます。
絵を描く人はもちろんのこと、何かを創る人には、ぜひ一度読んでみてほしい絵本です。
ルリユールおじさん
「ルリユールおじさん」
作者:いせひでこ
出版社:講談社
お気に入りの本がバラバラになってしまった少女と、ルリユール=本を直す職人のおじさんとの、何気ない出会いから始まった交流を描いた絵本です。
いせさんが、パリにスケッチ旅行へ出かけた時に、ルリユールおじさんの工房の窓に惹きつけられたことで生まれた作品で、
「illustration 別冊 絵本 作家73人の話」でのインタビューによると、これはいせさんの理想郷だそうです。
こちらの絵本のことは「illustration 別冊~」で知ったのですが、
「本を直す」という興味ある題材を扱っていたこともあり、
知ったとたんに読みたい気持ちが沸き上がり、すぐに本屋さんに行って購入しました。
にいさん
「にいさん」
作者:いせひでこ
出版社:偕成社
ざっくり言うと、オランダの画家・ゴッホと、その弟・テオの話を基にした物語です。
いせさんが、長年ゴッホとテオについて研究を続け、オマージュ的にまとめたのが、この絵本ではないかと思います。
いせさんなりに、たどり着いた答えという印象を受けました。
こちらは水彩ではなく、アクリル絵の具で描かれており、切ない中にも重厚感が加わった絵が印象的です。
いせさんはご自身で、
「ものすごく色音痴で、黄色と赤と茶色が使えない」
(「illustration 別冊 絵本 作家73人の話」より)
とインタビューでおしゃっていましたが、この絵本は例外だそうです。
好きという気持ちや、何かの答えを追い求める気持ちは、苦手意識すら通り越してしまうんでしょうか。
すごいパワーですよね。
エッセイ本 旅する絵描き パリからの手紙
「旅する絵描き パリからの手紙」
作者:伊勢英子
出版社:平凡社
こちらは、いせさんのエッセイ集です。
「絵描き」や「ルリユールおじさん」がどのようにして生まれたのかが、
手紙形式の文章で語られており、未公開のスケッチも多数収録されています。
絵本を読んだ後に読むも良し、絵本の前にエッセイを読むも良し!な本です。
まとめ
透明水彩やアクリル絵の具で描かれる絵と、最低限の言葉で語られるお話。
いせさんの絵本は、どこか切ないけれど、懐かしい気持ちになることが多い気がします。
興味が湧いた方はぜひ一度、いせさんの絵本やエッセイ本をチェックしてみてください!
それでは、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。